電気泳動
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優秀ポスター賞
対角線電気泳動法を用いた健常人尿中Tamm-Horsfall protein解析
御園生 圭太中山 亜紀飯島 史朗
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2015 年 59 巻 1 号 p. 17-19

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抄録

Tamm-Horsfall protein(THP)は遠位尿細管上皮細胞より産生され,健常人尿中に最も多く排泄しているタンパク質である.健常人尿を非還元状態で電気泳動し,抗THP抗体を用いたウエスタンブロットを行ったところ,THPモノマーの質量である100 kDにバンドが検出されるだけでなく,147,165,225,270 kDにもバンドが検出された.また,高質量域より100 kDにかけてブロードにTHPが検出された.これらの特徴的なバンドはTHPがSS結合を介して他のタンパクと重合しているのではないかと考え,対角線電気泳動法と質量分析法を組み合わせて解析を行った.その結果,非還元状態の電気泳動で165 kDに検出されたバンドからは,THPモノマーと免疫グロブリンのγ鎖,κ鎖が検出され,270 kDに検出されたバンドからは,THPモノマーと免疫グロブリンのγ鎖,κ鎖,およびα鎖が検出された.高質量域より100 kDにかけてブロードに検出されたバンドはTHPが重合して構成されていた.以上の結果から,THPは尿中に排泄される際,SS結合を介してIgGやIgAのタンパク質と結合していることを明らかにした.

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© 2015 日本電気泳動学会
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