電気泳動
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奨励賞(服部賞)
蛍光標識二次元電気泳動によるHDAC阻害剤の治療抵抗性原因タンパク質の同定
藤井 一恭
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2015 年 59 巻 1 号 p. 13-16

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抄録

HDAC阻害剤は血液系悪性腫瘍の新たな治療薬として開発されたが,その効果は患者間で異なり,感受性の違いに関するメカニズムに関しては不明な点が多く残されている.我々はHDAC阻害剤の抗腫瘍効果に関わる分子メカニズムの探索を行うために33株のリンパ球系悪性腫瘍の細胞株のプロテオームのデータベースを蛍光標識二次元電気泳動法を用いて作成し,HDAC阻害剤の1種であるバルプロ酸の感受性のデータと比較を行った.その結果389タンパク質スポットのうち10タンパク質スポットで感受性株群と耐性株群との間で発現の差を認めた.その中から耐性株群で発現が亢進している分子としてHSP70ファミリー分子であるHeat shock protein 1A(HSPA1A)を同定し,HSP70阻害剤であるKNK437にHDAC阻害剤によるアポトーシス誘導効果の増強作用があることを確認した.

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© 2015 日本電気泳動学会
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