2015 年 59 巻 1 号 p. 9-12
二次元電気泳動法は医学生物学研究の分野で世界的に最も頻繁に用いられている手法の一つである.近年,全自動二次元電気泳動装置であるAuto2Dが開発された.Auto2Dでは二次元電気泳動法のすべての工程(サンプル添加,イモビラインpH勾配ゲルによる等電点電気泳動,平衡化,SDS-PAGEによる分子量分離)が自動的に行われる.Auto2Dがどのような実験に使えるかを検討するために,異なる等電点幅(3–10,4–7,4–5.5,5–6.5,6–10)のイモビラインpH勾配ゲルを用いた実験を行った.その結果,ゲル間で重複するスポットを含む,合計4437スポットを観察した.スポット濃度について実験間の再現性をスキャッター・プロットで調べたところ,相関係数は0.642から0.978の間で分布しており,良好な再現性であった.これらの観察結果から,異なる等電点幅をもつイモビラインpH勾配ゲルを組み合わせて用いるAuto2Dは,タンパク質の網羅的発現解析に適していると考えられる.