電気泳動
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第54回児玉賞受賞者論文
電気泳動を基盤とした体液疾患プロテオーム解析法の開発と応用
小寺 義男
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2016 年 60 巻 1 号 p. 1-5

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抄録

全身を循環している血液中のタンパク質・ペプチドの組成は,体内で起こっている各種イベントを反映している.しかし,血中タンパク質の分析は高濃度タンパク質の存在,タンパク質濃度のダイナミックレンジの広さ,存在様式の多様性により,組織や細胞中のタンパク質に比べて網羅的な分析が困難である.このため,組織由来の微量タンパク質やペプチド,高濃度タンパク質に結合した成分を詳細に分析するためには,新たな試料調製法の開発が必要である.そこで,我々は血清・血漿中のタンパク質ならびにペプチドの前処理法の開発を進めているわけであるが,この開発段階において電気泳動を利用することにしている.その理由は,電気泳動によって,前処理の各段階における試料中のタンパク質・ペプチドの全体像を再現性良く迅速に把握することができるからである.本稿では,Tricine-SDS-PAGEを利用して開発した高効率な血清・血漿ペプチド抽出法の開発とその応用研究について記載する.

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© 2016 日本電気泳動学会
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