電気泳動
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シンポジウムII:電気泳動法と臨床検査―新たな発展に向けて
マイクロチップを用いた全自動蛍光免疫分析装置ミュータスワコーi30の開発
黒澤 竜雄
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2016 年 60 巻 1 号 p. 35-39

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抄録

我々は,マイクロチップを用いた全自動蛍光免疫分析装置ミュ―タスワコーi30の開発を行った.本システムは,LBA-EATA法を測定原理とし,測定時間9分を実現した.本システムの重要な技術は,レーザー誘起蛍光測定による高感度化検出とDNAを抗体に結合した点である.陰性荷電を多く持っているDNAを抗体に結合することにより,DNA結合抗体が特異的に反応したたんぱく質と形成する免疫複合体にも強い負の荷電を持たせることができる.このため,キャピラリー電気泳動を用いた免疫測定で既存方法より感度,分離能と迅速性を向上させることができた.LBA-EATA法は,マイクロチップキャピラリー電気泳動において,等速電気泳動(ITP)により,DNA標識抗体を濃縮しながら,抗原と反応させ,ITPからキャピラリーゲル電気泳動(CGE)に切り替えることでB/F分離する.その後CGEで分離分析し,目的タンパク質を測定する方法である.本法によるAFP-L3とPIVKA IIの測定では,感度,再現性が良好であった.ミュータスワコーには,AFP-L3,PIVKA-II,PCT,NT-proBNP とTroponinTの5項目がある.本技術は,糖鎖解析や分離測定の有効な手段となる可能性があることから,さまざまな測定系へ展開できる可能性を持っている.

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© 2016 日本電気泳動学会
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