電気泳動
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総合論文
電気泳動法を用いた癌関連蛋白質の解析と臨床への応用
藏滿 保宏
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2021 年 65 巻 2 号 p. 23-27

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抄録

日本電気泳動学会で発表してきた癌関連蛋白質解析の成果を紹介したい.C型肝炎関連肝癌組織と非癌部組織のプロテオーム解析ではHeat shock 70 kDa protein (HSP70) ファミリー蛋白群の増加とミトコンドリアでのβ酸化障害による酸化ストレスの可能性を明らかにした.またC型肝炎関連肝癌患者の血清中にHSP70.1への自己抗体が高発現していることを同定し,超高感度プロテインチップのプロトタイプを開発作製した.膵癌組織のプロテオーム解析でCofilin-phosphatase slingshot-1L (SSH1L) が膵癌細胞に高発現し膵癌細胞の動きと浸潤能を上げる事を明らかにした.Gemcitabine (GEM) 耐性膵癌細胞株のプロテオーム解析の結果,HSP27が耐性株に高発現しておりGEM治療の膵癌患者の生存日数が膵癌組織のHSP27発現と有意に関連していることも明らかにできた.

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© 2021 日本電気泳動学会
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