リポ蛋白分画の染色は,Fat red 7BやSudan black Bなどの脂溶性色素が使用されている.そのため,脂質の相違によってリポ蛋白分画が異なる問題点を有している.私たちは酵素法でコレステロール(CH)とトリグリセライド(TG)の和を染色するリポ蛋白分画法(CH・TG法)を考案した.CH・TG法は全自動化が可能であり,Fat red法に比べLDLとVLDLの分離がより明瞭となった.Fat red法の相関は,HDLでy=1.04x-9.1, r=0.934,VLDLでy=1.27x-6.6, r=0.893,LDLでy=1.26x-3.2, r=0.734であった.さらに,CH・TG法によるVLDLおよびLDL分画はFat red法に比べ,それぞれTG およびCHの増減をより反映しやすいものであった.これらの結果より,従来の方法の問題点を改善した新たなリポ蛋白分画と考えられた.
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