電気泳動
Online ISSN : 2189-2636
Print ISSN : 2189-2628
ISSN-L : 2189-2636
論文種目:総合論文
卵巣明細胞癌の新規バイオマーカー探索とその機能解析:病理検体を用いたショットガンプロテオミクス法
松本 俊英川島 祐介紺野 亮小寺 義男三枝 信
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 66 巻 1 号 p. 23-26

詳細
抄録

卵巣癌は婦人科腫瘍の中で最も予後不良な癌種として知られており,特に卵巣明細胞癌(OCCCa)は抗癌剤低感受性であるため,再発癌・進行癌における予後は極めて不良である.我々はOCCCaの診断や分子標的となるような新規バイオマーカー探索に着手した.Lefty(Left-right determinant factor)は,卵巣癌の中でもOCCCaで有意に高発現であり,TGF-β/Akt/Snailシグナル系を介した上皮間葉転換やがん幹細胞化の誘導に関与していることを見出した.EBP50(Ezrin-radixin-moesin binding phosphoprotein 50)は,アポトーシス制御とDNA修復酵素であるPARP1の活性化維持に関与することにより,OCCCaの化学療法耐性能獲得及び予後不良に寄与することが示唆された.上記結果はともに,病理検体から高率にタンパク質の抽出,さらには感度および再現性の高い質量分析計による解析が起点となった成果である.

著者関連情報
© 2022 日本電気泳動学会
前の記事 次の記事
feedback
Top