2025 年 69 巻 2 号 p. 23-26
本総合論文では,特にシングルセル解析や臨床応用で求められる極微量サンプルの高感度プロテオミクス技術について議論する.ゲノム情報が完全に解読された現代においても,生命現象を完全に理解するにはプロテオーム情報の詳細な解析が必要不可欠である.ここでは,ペプチドのロスを最小限に抑制した新しいピペットチップ型カラム「ChocoTip」を紹介し,その特徴的な材料設計によるペプチド精製技術の性能向上について説明する.また,ナノスケール親水性相互作用クロマトグラフィーにおいてペプチドの溶解性を大幅に改善し,超高感度LC-MS/MSを可能にした「two-step溶解法」についても詳しく紹介する.これらの技術革新を統合することで,プロテオーム解析の感度,再現性,網羅性が飛躍的に向上し,次世代プロテオームシーケンサーの創出に向けた計測基盤の整備が期待される.