沿岸海洋研究
Online ISSN : 2434-4036
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黒潮フロント域の栄養塩供給
長井 健容
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2015 年 53 巻 1 号 p. 11-14

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抄録
本研究では,フロント域で発生する様々なスケールの物理現象が,貧栄養として特徴づけられる黒潮にどの様に栄養塩を供給し得るのか定量的に調査することを目的とし,数値実験と現場観測を実施している.現場観測の結果,黒潮の北側にある低塩分で比較的硝酸塩濃度の高い海水が,黒潮続流域北縁でサブダクションしていることが判り,これらの等密度面に沿ったオブダクションやサブダクションが栄養塩を黒潮に供給する契機となる可能性が示された.また,この時の風向きは,平均して黒潮の流れと同じ方向に吹いていたため,同時に観測した乱流運動エネルギー散逸率は,壁法則で風応力から見積もられるそれの10倍程度であった.この乱流と硝酸塩の観測から見積もった鉛直上向きの硝酸塩拡散フラックスは,O(10-5-10-4mMol m-2s-1)と非常に大きな値となった.さらに2013年7月に黒潮流軸に投入したEM-APEX フロートと乱流計を搭載したフロートのデータは,黒潮流軸直下で近慣性内部波の存在を示し,加えて塩分の複雑な逆転構造を水深150-400m で,流軸直下900km に渡って示した.計算したTurner Angle から,観測した水温・塩分の分布が二重拡散対流が起こり易い鉛直構造にあったことが判り,流軸直下で二重拡散対流が低塩分水に含まれるであろう高栄養塩水を有光層に輸送する可能性が示された.
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© 2015 日本海洋学会 沿岸海洋研究会
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