有明海湾奥西部域の冬季珪藻ブルームの発生要因を調べるために,2012年から2015年の11月-3月に沖合域定点観測を,2014年から2015年に鹿島川感潮域の観測を行った.結果として沖合域に位置するStn.1では,すべての年で水温が10℃を下回った時期に珪藻ブルームが発生し,それに伴い栄養塩が減少したが,その後もブルームは維持された.一方で河川から栄養塩の供給がある感潮域は,珪藻類の増殖とバイオマスの維持において重要な場所であることが示唆され,感潮域からの水塊移入が沿岸域での珪藻ブルームの発生およびその維持に寄与している可能性がある.これらの結果は,感潮域での珪藻類の動態が冬季の有明海湾奥西部域での珪藻ブルームを理解する上で重要であることを示している