沿岸海洋研究
Online ISSN : 2434-4036
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沿岸域における二枚貝の二次生産量の現状と経験式の構築
小森田 智大
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2018 年 55 巻 2 号 p. 87-89

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抄録

沿岸域の主要な分類群の1つである二枚貝類について,物質循環と関係するパラメーターの1つに二次生産量がある.本研究では二枚貝の二次生産量研究に関する既往の知見を取りまとめ,(1)報告件数の地域的な特徴から課題を抽出し,(2)経験モデルの精度向上を目的とする.筆者が取りまとめた全81報の文献について,ヨーロッパや北アメリカからの報告が大半を占める一方で,アジア諸国,オセアニア,アフリカでは報告数が1桁であり,二次生産量の知見が不足していた.このように,報告数が少ない理由の1つとして,二次生産量の研究が個体群動態と物質循環に関する研究の境界領域に相当するためではないかと推測された.二次生産量の簡易的な推定方法である経験モデルについて,既往のモデルには二枚貝のみを対象にしたモデルの数が少なく,精度もあまり高くなかった.本研究では既存の文献値を取りまとめ,年間の平均生物量を目的変数としたより精度の高い二次生産量の推定モデルを構築した(n=231,r2=0.876).

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© 2018 日本海洋学会 沿岸海洋研究会
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