抄録
当院の嚥下サポートチームでは嚥下困難のある入院患者に嚥下内視鏡検査(VE)を行い,経口摂取の可否や言語聴覚士(ST)による摂食嚥下訓練の決定を行っている.今回2022年7月から1年間に当チームで施行したVE(気管切開症例を除く)488症例を対象に,VE 時所見(兵頭スコア,ゼリーの残留の程度〈喉頭蓋谷,梨状陥凹〉,とろみ水の喉頭侵入・誤嚥の程度)および全身状態(意識レベル,アルブミン値)が食形態や摂食嚥下訓練の決定に寄与したか否かを調べる研究を行った.経口摂取不可群(60例)と直接訓練群(132例)では血清アルブミン値を除く全項目で,直接訓練群と食事摂取可能群(296例)では全項目で統計学的有意差が認められた.直接訓練は兵頭スコア7点の症例が最も多いが,6点以下でもアルブミン値や意識レベルが悪い症例,8点以上でもゼリー・とろみ水の嚥下状態や意識レベルが良い症例は直接訓練の適応となる傾向があった.