抄録
高齢者の摂食嚥下リハビリテーションにおいて,喉頭挙上の駆動筋力としての舌骨上筋群および下筋群の筋力(以下,頸部筋力)は重要であるが,その客観的評価手法は確立されていない.我々は,頸部専用アタッチメントとハンドヘルドダイナモメーターを用いた新たな頸部筋力計測法を開発し,その信頼性を報告している.本研究では,臨床場面での有用性を後方視的に検討した.患者カルテから背景情報,頸部筋力値,栄養摂取レベル(FOIS),最大呼気流量(CPF),舌圧などを収集し分析した結果,頸部筋力計測は高い計測可能率を示した.また,頸部筋力が改善した群ではFOIS改善割合が高い傾向を認めたほか,頸部筋力とCPFおよび舌圧には正の相関が認められた.これらの結果は,頸部筋力が口腔器官の筋力や呼吸機能,栄養摂取レベルなど摂食嚥下機能と関連することを示している.本計測法は,摂食嚥下リハビリテーションにおける新たな客観的評価指標としての臨床応用が期待される.