抄録
本稿は、臨死体験及びそれに関連した事象に見られる人生回顧について、日本人の体験者本人の語りを提示することを通して、様々なタイプの人生回顧の体験が存在することを明確化する。今日では、生理学的な意味で臨死(瀕死)ではない人にも心理的危機によって恐死体験が起こることも知られ、実際に死が差し迫っているかどうかに関わらず引き起こされる臨死様体験も臨死研究におけるカテゴリーの一つになっている。一方で、臨死体験の深まりの中で体験される人生回顧には、恐死体験における人生回顧とは質的に異なる体験内容が含まれることが体験者の語りからも窺える。このように多岐に渡る体験の解釈として、それぞれのタイプの体験を説明する上で有効な説明を考え、結論として、人生回顧の体験についての理解が死に逝く時の意識体験を理解する秘鑰となりうることを示す。