抄録
適応学習教材としてのデジタルドリルを用いた復習における学力層別の学習効果を明らかにすることを目的に,公立小学校6年生児童20名を対象として算数科,異分母分数の加減の復習を行った.児童は,プレ・ポストテストを変数とした階層クラスター分析により,上位群,向上群,向上未達群の3群に分けられ,上位群及び向上群を併せると約8割の児童のポストテスト平均正答率が9割を越える結果となった.向上群では分数概念や計算手続きの習熟が図られたことが示唆された.向上未達群は適応学習教材の解答時間が長く,計算手続きの習熟が図られた様子は見られたものの,通分手順や概念の理解不足・誤り方略,加減の8つの誤答タイプ,間違いの繰り返し,無回答などが確認された.