抄録
1996 年に創設された環境カウンセラー登録制度は、初期こそ専門誌等で活発な実践報告がなされていたが、2000 年代半ば以降、各地の実践を全国的・継続的に集約・共有する情報循環が縮減・弱体化し、制度全体の動態を伝える 「続編」 の発信が事実上途絶している。本稿では、現在の情報発信が肩書きの個人利用へ矮小化している点、および行政の活動報告がスタティックな名簿管理へと形骸化・ブラックボックス化している現状を批判的に検討した。この「不可視性」は、社会的認知度の頭打ちのみならず、地域間の情報遮断による「実践の孤立化」やピア・レビュー機能の喪失という社会的・制度的弊害をもたらしている。制度創設 30 年目を迎えた現在、過去の惰性を脱し、検索需要や実践データを公開する「動的アーカイブ」への転換と、個人が直接知見を共有できる「連帯プラットフォーム」の創出を通じた、ガバナンスの再設計による「可視化」の再構築を提言する。