日本生態学会大会講演要旨集
第52回日本生態学会大会 大阪大会
セッションID: E111
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航空機搭載合成開口レーダを用いた森林バイオマス量の推定
*渡辺 学
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抄録

 合成開口レーダ(SAR)は、天候に関係なく航空機や衛星からデータを取得することが可能である。このうち、波長が約23cm程度のLバンドSARでは、電波が森林内にある程度侵入することから、バイオマス量が少ない森林において、後方散乱された電波強度と地上部バイオマス量の間に相関関係があることが知られている。本講演では、2002年から2004年にかけて、北海道苫小牧国有林で行われてきた航空機搭載LバンドSAR観測で得られたデータと、同時に行われた毎木調査で得られた結果について報告を行う。毎木調査は、2002年秋に混交が進んだスタンド、2003年夏にアカエゾマツ、2004年夏にはトドマツのスタンドを中心にして行われた。そして、この3回の調査で計6000本程度の樹木について、樹高と胸高直径のデータを採取した。採取されたデータから、断面積合計、樹高、地上部バイオマスを算出し、それぞれについて電波強度との相関を調べた。その結果、地上部バイオマスと断面積合計の2つのパラメータで、良い相関を示していることが確認された。また、毎木調査を行ったスタンドの中で、同一樹種でほぼ同じ樹齢のサイトのデータのみを選んで相関関係を調べたところ、それ以外のケースに比べ、相関係数の大幅な改善が見られた。バイオマスと電波強度の関係を近似式で表したところ、データのばらつきは(最もよい場合で)5%となった。これらのデータをもとに、LバンドSARデータを利用した、森林地上部バイオマス取得の可能性についての考察を行う。

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© 2005 日本生態学会
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