抄録
東シベリア永久凍土帯に広がるタイガ林は落葉性針葉樹であるカラマツから成る森林で、年平均降水量がわずか213mmほどの内陸性の極めて乾燥した気候帯に成立している森林である。広大な面積を占めるため、地球規模の炭素・水の循環に重要な役割を果たしていると考えられる。針葉樹でありながら落葉性というカラマツの森林は、ヨーロッパや北米の常緑針葉樹であるトウヒの森林とは、フェノロジー(植物季節性)および年々変動でも、大きな違いが予想される。本研究では、カラマツの光合成活性、土壌水分等の季節変化の年々変動の観測を行い、ある年の降水が1年以上の遅れをもって植生の活性に影響を及ぼす効果が明らかにした。