日本生態学会大会講演要旨集
第52回日本生態学会大会 大阪大会
セッションID: L2-3
会議情報
琵琶湖の生態系保全に向けた水位操作の順応的な取り組み
*西野 麻知子佐久間 維美
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

琵琶湖は、58種の固有種を擁し、現在の湖が形成されてからでも数十万年の歴史を有する古代湖であるが、行政的には、日本最大の湖として近畿1400万人の流域の人々に工業・農業・生活用水を供給する一級河川でもある。淀川流域委員会の役割は、国(近畿地方整備局)が策定する「淀川水系河川整備計画(直轄管理区間を基本)」について意見を述べることであるが、琵琶湖は国の直轄区間ではない(滋賀県が管理)。ただ、近畿地方整備局が関わる部分については、委員会で審議することになったため、平成13年2月から4年にわたり琵琶湖とその流域の治水、利水、環境に関わる課題について、主に委員会の下部組織である琵琶湖部会でのべ30回にわたり議論を行ってきた。審議の結果は、平成15年1月に「提言」、平成15年12月に「意見書」としてまとめ、近畿地方整備局に提出された。「提言」では、琵琶湖の環境について水陸移行帯の機能保全と回復を重視した整備、琵琶湖をはじめとする水位管理の改善および統合的な流域水質管理システムの構築などを求めた。これに対し近畿地方整備局は、提言、意見書の趣旨を尊重して、様々な施策に委員会意見を反映している。なかでも画期的だったのは、琵琶湖の水位操作の試験運用(試行)である。「意見書」では、平成4年に制定され、夏期に琵琶湖の水位を低く保つため、湖の生態系に様々な負の影響を与えていると指摘されている水位操作規則の見直しとともに、その具体的検討のための試行を求めた。それを受けて、平成15年より琵琶湖の水位操作試行が始まり、同時に行った野外調査結果をフィードバックすることで、近年漁獲量が大きく減少したコイ科魚の産卵環境改善について作業仮説の提示が可能な段階になっている。ただ、過去2年間の試行は現行の水位操作規則の範囲内にとどまり、夏期に低水位を保った状態に変化はない。この点が、今後の課題として残されている。

著者関連情報
© 2005 日本生態学会
前の記事 次の記事
feedback
Top