日本生態学会大会講演要旨集
第52回日本生態学会大会 大阪大会
セッションID: P3-045
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岩礁域潮間帯に生息する巻貝の配偶者選択
*河合 渓辻 宏幸五嶋 聖治
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キーワード: 父子判定, 巻貝 , 配偶者選択
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抄録

 海産巻貝チヂミボラは北方域岩礁潮間帯に生息する捕食性の巻貝である。殻の大きさは3-4cmと小型であるが、捕食者として潮間帯群集の群集構造決定に重要な役割を占めている。この巻貝は10月から4月と長い交尾期を持ち、その後産卵集団を形成した後、5月前後に卵嚢を岩盤上に産出する繁殖様式を持つ。卵嚢は黄色く約1cmの楕円形を示し、卵嚢内には20-100個前後の卵を内包する。産卵雌から稚貝の雌親は判断可能であるが、実際にどの雄個体の卵を産んでいるかは全く分かっていない。そこで本研究では野外での交尾ペア選択の観察と室内実験で父子判定を行い、配偶者選択について検討した。
実験は2003年10月-2004年8月まで行った。交尾期初期である10月の干潮時に交尾ペアを採集しサイズを測定した。そして、雌1個体と雄3個体を籠に入れ流水中で飼育した。水温は野外と同じ水温にした。産卵された卵嚢を8月に採集し卵嚢内から稚貝を取り出し、各稚貝ごとにDNAを採集した。そして、DNAマイクロサテライトの多様性を用いて父子判定を行った。
本報告では野外観察と室内実験の結果から海産巻貝の配偶者選択を中心とした繁殖について考察する。

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© 2005 日本生態学会
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