電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review
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BioX研究会提案
生体認証における性能評価への取組み
溝口 正典
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2016 年 10 巻 2 号 p. 137-142

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抄録
バイオメトリクスは生体認証や身体認証などと訳されている.本稿ではその精度評価方法の開発の歴史,特に米国国立標準技術研究所(NIST)等による性能評価試験,米国規格協会(ANSI)等によるデータフォーマットの米国標準化の動きから,ISO/IEC JTC1 SC37で開発された国際標準化までの,バイオメトリクス精度評価関連の標準化活動を概観する.精度評価というと,ベンチマークテストのような試験を想像される方も多いと思う.しかし,フレームワークとして開発された精度評価方法の国際標準ISO/IEC 19795 シリーズに書かれている内容はそのようなものではない.ここではSC37 で既開発あるいは開発中のIS(International Standard)やTR(Technical Report)にどのようなものがあるか紹介し,トピックとして反復性と再現性,偏りのないデータ収集のあり方,サンプルデータセットからの統計的性能推定などを取り上げて,それらの重要性を指摘したい.また,ルーツの異なる専門用語定義や,翻訳の難しさなどについても触れる.最後に今後の研究が期待される未解決な課題について述べる.
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© 2016 一般社団法人 電子情報通信学会
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