抄録
本稿では,マルコフ確率場を用いた生成モデルの方法について解説を行う.マルコフ確率場とは確率変数間の関係性をグラフ構造で表すことができる確率分布の総称であり,生成モデルの方法は確率分布を用いてデータセットの発生源を模倣する統計的機械学習法の一つである.まず,確率変数間の関係性をグラフ構造で表現するマルコフ確率場とその性質について概説し,確率分布に対する統計的機械学習法の一つである生成モデルの方法について述べる.その後,マルコフ確率場に対する基本的な学習法について説明し,実際の学習で役立つ幾つかのアルゴリズムを紹介する.また,マルコフ確率場を用いた生成モデルの方法の例として,制限ボルツマン機械について紹介する.