抄録
多重知能理論の登場と現在までの普及の現状を振り返り,教育への応用の事例を紹介する.特に,大学教育への適用を念頭に,最近話題になっているポートフォリオ評価やアクティブラーニングへの適用について論じる.そして,大学の正課外教育の活動として実践され始めたエクスターンシップにおけるアンケート分析から,事前・事後の回答の変化に焦点を当てた多重知能理論に基づく分析が有効であることを示し,この変化を説明する場のモデルを提案し場のパラメータを推定する.なお,場のパラメータの妥当性についても論じる.最後に,エクスターンシップの参加学生は集団全体としてはチクセントミハイ(M. Csikszentmihályi)のフロー状態へ向かっていることを定量的に示す.