2018 年 12 巻 2 号 p. 133-143
本稿においては,CMOS集積回路技術を用いたバイオセンサ集積システムについての解説を行う.近年のCMOS集積回路技術の発展により,CMOS集積回路技術を情報通信分野以外へと応用する流れが加速している.特に,バイオテクノロジーや医療関連への応用は大きく期待されており,CMOS集積回路設計の研究分野の一つとして確立しつつある.学術的にも,集積回路関連学会においてもセッションが設けられ,BioCAS,IMBioCなどの特化した国際会議が設立されるなど,大きな注目を集めている.そこで,バイオセンサ集積回路における幾つかのバイオセンシング手法について解説を行い,更に近年の研究開発動向を述べる.また,筆者らが取り組んでいる低消費電力集積回路とバイオ発電素子を用いた発電センシング一体形集積センサ技術の開発,並びにその電力自立ヘルスケアIoTへの応用展開についても紹介をする.最後に,CMOS集積回路技術の今後の更なる性能向上を生かした将来の展望について述べてその結びとする.