2020 年 13 巻 4 号 p. 284-293
音響情報ハイディング技術は,音響コンテンツの情報保護技術だけでなく,音声改ざん検出といったセキュリティ技術として注目されている.筆者の研究グループでは,音響情報ハイディングの研究に取り掛かり,ちょうど10年が経過した.本稿では,音響情報ハイディングの基礎並びにその実現に役立つ聴覚特性,代表的な音響情報ハイディング法を紹介する.また,蝸牛遅延に基づく方法,適応位相変調に基づく方法,特異スペクトル分析に基づく方法など,筆者の研究グループが提案した方法も紹介する.最近の取組みとして,音声セキュリティとしての音声改ざん検出の話題も提供する.