電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review
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BioX研究会提案
新生児指紋認証技術によるSDGsターゲット16.9への挑戦
幸田 芳紀伊藤 康一青木 孝文
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2020 年 13 巻 4 号 p. 312-320

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抄録

2015年に国連は,「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」(Transforming our world:the 2030 Agenda for Sustainable Development)を採択し,その中でSustainable Development Goals(SDGs)を発表した.このSDGsは17個のゴールと169個のターゲットで構成されており,その目標16ターゲット16.9では,「2030年までに,出生登録を含むすべての人に合法的な身元を提供する」ことを宣言している.これは,出生直後から全ての人が出生国の国民として登録されることで,国民として享受すべき社会保障サービスを受けられる環境を確立することにほかならない.国民の登録・管理に利用できる個人認証技術の一つとして指紋認証がある.現在までに数多くの国々が指紋認証に基づいた国民IDシステムを導入している.しかしながら,新生児に利用可能な指紋認証システムが開発されておらず,そもそも現状の国民IDシステムでは,新生児を含む5歳以下の子供を登録対象としていない.本稿では,SDGsターゲット16.9の実現に向け,指紋認証技術の適用範囲を出生直後の新生児にまで拡大する取組みについて述べる.

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