2025 年 18 巻 3 号 p. 218-225
本論文では,車両挙動情報を用いたオートエンコーダによる路上障害物検知に関する研究について概説する.車両に搭載されたETC (Electronic Toll Collection system) 2.0車載機で計測された車両挙動情報をプローブデータとしてITS (Intelligent Transport Systems)スポットを通じて集約し,機械学習アルゴリズムの一つであるAutoEncoderを用いて,路上障害物の発生とその位置の検出手法について説明する.AutoEncoderでは,路上障害物発生前の正常な道路交通流での車両挙動情報を学習しモデルを時系列的に構築し,そのモデルへの適合性が悪い出力が得られたときに路上障害物が発生したと検出する.この方針は時々刻々と変化する交通流への適用性が高く,また様々な道路環境への適用性も高いと考えられる.数値計算実験により,AutoEncoderを用いた検出手法が,教師あり学習であるSVC (Support Vector Classifier)を用いた場合より検出精度が上回ることを示す.