2025 年 19 巻 2 号 p. 78-86
生体認証の一つである指静脈認証技術の研究開発を例にとり,技術の創生から社会実装に至るまでの様々な挑戦を,昨今注目されている総合知の観点から考察しつつ解説する.生体計測と画像認識の融合による指静脈認証の世界初の実用化から,精度と使い勝手を磨いての製品化,価値観の異なる市場での競争から学びを得た新技術の開発と金融機関での採用,そして更なる社会実装の拡大を目指しセキュリティ技術と融合して実現した大規模生体認証基盤サービスまで,一連の開発史について概説していく.