2025 年 19 巻 2 号 p. 70-77
情報がもつ意味の伝達に焦点を当てるセマンティック通信は,情報理論に基づく通信方式とは異なる新たな通信パラダイムとして注目されている.近年の人工知能技術,特に深層学習や知識表現の進展により,タスクに必要な意味のみを抽出・符号化・伝送することが可能となり,通信の効率化・低遅延化・知的なインタラクションの実現が期待されている.本稿の前半では,セマンティック通信の理論的背景,深層学習に基づく実装例,ユースケースを紹介する.本稿の後半では,画像伝送におけるセマンティック通信にとって必要な機能やその実装例を紹介する.特に,セマンティック画像伝送の実現に有効なアプローチである情報源通信路深層結合符号を概説する.