ディジタル映像機器の普及により,カラー画像・映像信号処理の高度化に対するニーズは高まるものと考えられる.このような背景から,カラー画像・映像信号処理において重要な位置を占める雑音除去及びコントラスト強調手法について解説する.現状では,濃淡画像に対して明らかにされてきた方法をカラー画像・映像のRGB 成分に対して独立に施すか,カラー画像・映像の輝度(Y) 成分のみに施すことが主流となっている.しかしながら,雑音除去においてもコントラスト強調においてもスカラ信号的処理形態では性能に限界があり,カラー画像・映像信号をマルチチャネル信号ととらえて,ベクトル信号処理を行う必要があることを本稿では明らかにする.また,カラー画像・映像信号処理の場合,処理を施す色空間を必要に応じて変える必要もあり,そのことが処理の多様性につながることを明らかにする.