抄録
本稿では,無線通信の一つであるRFID (Radio Frequency Identification) タグ技術を用いて,生体内非触知領域へのマーキングを行う新しいマーキング技術を紹介する.画像診断技術の進展に伴い数mm 以下の微小な病変部位を発見することが可能になってきている.手術などの処置を行うときには,この病変部位の位置を特定する必要があるが,生体形状の変化や病変部位が組織内部にあるために位置を再度特定することは容易ではなかった.ここで示す生体マーキングシステムは,可視及び触知が困難である生体内部の病変領域の位置情報を,RFID 通信技術を用いて手術時に提供するものである.RFID マーキングシステムを試作し,その効果を実験的に評価した.このことから,この新しいマーキングシステムの効果を明らかにする.