抄録
セルラシステムを代表とする移動無線通信システムは,数十年にわたり高速化の需要が高まっている.そしてそれを支える技術の展開においては,信号処理能力の向上に伴い直交化と非直交化が繰り返し現れている.本稿では,無線通信の進化を支える非線形信号処理についての解説を行う.はじめにセルラシステムにおいて周波数利用効率と通信路容量を同時に向上させる必要性について概説し,それを実現するために無線アクセス方式が非直交化を取り入れていることを述べる.例として複数アンテナ伝送方式やFaster Than Nyquist(FTN)伝送を紹介し,多元接続技術における直交,非直交の変遷も説明する.第5世代移動通信システムにおいては非直交多元接続方式が検討されているため,その特徴と非線形信号処理の重要性を紹介する.また,変調方式にカオスによる非直交マッピングを用いた場合の性能向上についての提案を紹介する.これらにより,次世代の無線通信システムでは非線形信号処理の活用が必須であることを説明する.