JIS Z 8115 ディペンダビリティ(信頼性)用語は2000年に大改正されてから15年以上を経過しており,現状に合わない用語や表現が見られるようになってきた.このため,日本規格協会では委員会を設置して信頼性用語の改正案の検討を進めてきている.2015年に国際規格IEC 60050-192 Ed.1 Dependabilityが制定されたため,委員会では国際整合化のために内容を一致させる作業を進めている.本稿ではこれまでの検討結果から,代表的な信頼性用語の概要を紹介し,また信頼性用語を通して信頼性の新しい分野,サービスの信頼性について紹介する.
セルラシステムを代表とする移動無線通信システムは,数十年にわたり高速化の需要が高まっている.そしてそれを支える技術の展開においては,信号処理能力の向上に伴い直交化と非直交化が繰り返し現れている.本稿では,無線通信の進化を支える非線形信号処理についての解説を行う.はじめにセルラシステムにおいて周波数利用効率と通信路容量を同時に向上させる必要性について概説し,それを実現するために無線アクセス方式が非直交化を取り入れていることを述べる.例として複数アンテナ伝送方式やFaster Than Nyquist(FTN)伝送を紹介し,多元接続技術における直交,非直交の変遷も説明する.第5世代移動通信システムにおいては非直交多元接続方式が検討されているため,その特徴と非線形信号処理の重要性を紹介する.また,変調方式にカオスによる非直交マッピングを用いた場合の性能向上についての提案を紹介する.これらにより,次世代の無線通信システムでは非線形信号処理の活用が必須であることを説明する.