Experimental Animals
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マウスの薬物感受性におよぼす近隣環境の影響
棚瀬 久雄松沼 尚史鈴木 善雄
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1979 年 28 巻 4 号 p. 507-518

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抄録

薬物に対する感受性が生産された動物の飼育環境や実験環境などのいわゆる近隣環境によりどの程度の影響を受けるかについて主としてビタミンB1塩酸塩と一部イソニアジドを用いてマウスに対する急性毒性のLD50値を指標にして3つの独立した実験を行なった。第1は環境統御の不充分な施設で生産された動物を購入して, 不充分な実験環境で実験を行なったものであり, 第2はある程度の環境統御がなされた施設で生産された動物を購入して, 比較的整備された実験環境で実験を行なったものであり, 第3はバリアーシステムのもとで自家生産した動物を用いて, 充分な実験環境の整備のもとで実験を行なったものである。その結果, 入荷後の環境統御が充分なほど動物は薬物に対する感受性が強く現われ, この点は毒性反応が緩徐に現われるイソニアジドでより著明であった。また薬物の感受性は季節の影響を受けるようであったが, その受け方はそれぞれの動物の飼育環境や実験環境で異なっており, これらの近隣環境の統御が充分に行なわれた実験3では季節間変動は非常に少なかった。よって動物実験には良好な飼育環境で生産された動物の使用と充分な実験環境の整備が必要であることが判明した。

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© 社団法人日本実験動物学会
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