抄録
Rolling mouse Nagoyaは本邦で開発された唯一の遺伝性運動失調症モデルマウスである。このマウスは著明な歩行異常を示すにも拘らず, それに相応する明確な病理所見は得られていない。そこでわれわれはこの歩行異常, 歩行動態を電磁的手法により検出し, 定量化して, 客観的に把握し, この結果を, 病理組織学的所見の明らかな他の遺伝性運動失調症モデルマウス (ReelerおよびWeaver) と比較検討した。その結果, 運動サイズと運動量の関係を示す運動スペクトルでは, 各失調マウス共ほぼ同一Jパターンを示し, この点からはRolling mouse Nagoyaの歩行異常の主体は小脳性運動失調であろうと考えられた。また, 運動軌跡では各失調マウス間に若干の差異のあることが認められたが, これの定量化については装置その他方法等についてさらに検討を加える必要のあることが示された。
Rolling mousy Nagoyaを分与して下さった名古屋大学環境医学研究所織田銑一先生に感謝致します。本論文の主旨は第15回日本実験動物学会 (浜松, 1980.8.29) にて報告した。