Experimental Animals
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ウサギにおける遺伝性補体成分欠損症個体の作出方法
小松 正憲
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1985 年 34 巻 2 号 p. 173-182

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抄録

ニュージーランドホワイト種ウサギ集団において, 遺伝性補体成分欠損症個体の作出と補体価の実現遺伝率の推定を目的とした, 補体価の高低二方向選抜実験を行なった。得られた結果は次の通りである。1) 203匹の成熟ウサギ個体の補体価は, 2~18U/mlに分布し, その平均値±標準誤差は, 9.0±0.2U/mlであった。2) ウサギ補体価の個体差は, 時間や季節によらず比較的安定していた。3) 補体価の実現遺伝率は, 約0.3と推定された。4) 補体価の低いもの同士の交配, すなわち, 雄: 5.9U/ml×雌: 5.6U/mlの交配からは, 遺伝性C8α-γ欠損ウサギ2個体が得られた。また, 雄: 3.2U/ml×雌: 5.6, 5.7U/mlの交配から, 遺伝性C6欠損ウサギ5個体が得られた。5) この集団におけるC8α-γ欠損およびC6欠損遺伝子の頻度は, それぞれ, 少なくとも0.005と0.003と推定できた。6) 補体価の低方向への選抜は, ウサギにおいて遺伝性補体成分欠損症個体の作出方法として, 一つの有効な方法であることが示唆された。

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© 社団法人日本実験動物学会
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