Experimental Animals
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Wolff氏管由来臓器の欠損を伴う精巣異常系ラット (TW) の精巣組織像の変化
味沢 千代筏井 洋今道 友則
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1985 年 34 巻 2 号 p. 189-195

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抄録

雄の約50%に片側または両側性に, 精巣上体・精管・精管腺の完全もしくは部分的欠損を伴う精巣異常を発現するTW系ラットの, 生後精巣重量および組織像の変化を調べた。
TW系の異常側精巣重量は, 4・5週齢では正常側に比べ有意に大きかったが, 6週齢以後増加はみられず, 9週齢以後正常精巣の1/2~1/3となった。組織像では, 4・5週齢では精細管径および内腔の拡大, 精細胞の減少が認められた。6週齢以後, 一部の精細管で精細胞の変性・消失・多核巨細胞の発現が認められた。その後加齢につれ変性は進み, 15週齢以後ほとんどの精細管ではセルトリ細胞のみが観察され, 間質の水腫および間質細胞増殖が認められた。また, TW系ラットの精巣異常は, 副性器欠損による精細管内液の排出障害に起因する可能性が考えられたため, 正常なラットの精巣輸出管結紮後の, 精巣重量および組織像の変化を調べた。精巣輸出管結紮後の精巣重量は, 結紮1・3週後 (4・6週齢) には増大し, 6・12週後には萎縮した。組織像の変化は, 結紮1週後には精母細胞の減少と精細管内腔の拡大が, 3・6週後には精細胞の変性・消失と多核巨細胞が, 12週後には多くの精細管ではセルトリ細胞のみが観察され, 間質の水腫と間細胞の増殖が認められた。以上の結果より, TW系ラットの精巣異常の原因は, 副性器欠損に起因する精細管内液の排出障害によることが明らかになった。

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© 社団法人日本実験動物学会
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