Experimental Animals
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Y染色体上に外来性遺伝子を持つトランスジェニックマウスの精子を用いたPercoll密度匂配遠心法によるX・Y精子分離の評価
東條 英昭久保 政美
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1990 年 39 巻 2 号 p. 199-205

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抄録
Y染色体に外来性遺伝子が挿入されているトランスジェニックマウスの精子を用いて, Percoll密度匂配遠心法により, X・Y精子の分離を試み, その結果を, DNADNAハイブリダイゼーション法により判定した。7段階の濃度 (35~84%) からなるPercoll密度匂配に, 精巣上体より採取した精子浮遊液を重層し, 300×gで, 10分, 15分および20間それぞれ遠心した。遠心後, 各分画中の精子を回収・洗滌し, 精子DNAを抽出した。得られたDNAをニトロセルロースフィルター上にドットおよび固定したのち, 32P標識DNAプローブとハイブリダイズさせた。各DNAドット部位を切り取り, シンチレーターに投入して液体シソチレーション計数機で放射能を測定した。その結果, 遠心分離条件の違いにかかわらず, 各DNAドット間および対照 (非分離精子) との間には, 測定値に差異がなく, 各精子分画におけるX精子とY精子との比率がほぼ等しかったことが認められた。本実験の結果から, 原形質滴を持つ精子が含まれる精巣上体尾部精子を用いる限り, 比重差によるX・Y精子の分離は困難であることが示された。
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© 社団法人日本実験動物学会
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