実験動物の生理学的特性として, 生理・生態の日内リズムに関する情報を整えておくことは, 実験動物の基礎資料収集の一環として重要であると考えられる。そこで, 小型生体情報処理システム装置 (データロガシステムと略す) を用いてスタンチョン飼育シバヤギの体温 (皮下温) , 心拍数および行動型 (採食, 反芻, 姿勢) を24時間自動記録する方法を考案し, これらの日内変動に関する標準測定値を求めた。16カ月齢去勢シバヤギを用い, シバヤギ用慣用配合飼料1200gを朝夕2回 (9: 00~9: 30, 16: 00~16: 30) それぞれ給与した。照明は12L-12D (5: 30~17: 30明期) とした。1) 本データロガシステムによりFig.2に示したように各情報の日内変動が記録され, またこれら情報間の対応関係も明らかにできた。2) 心拍数は, 朝夕の採食時に急増加し, 朝の採食後, すなわち明期には高値を示し, 夕方の採食後から漸減し, 翌日早朝に最低値を示した。3) 体温は, 早朝に最低値を示し, 朝の採食時から上昇し, 夕方の採食後1~1.5時間後に最高値を示した。その後早朝まで減少した。4) 顎運動回数 (咬数) は採食時には, 70~90回/分, 暗期の反芻時には, 80~90回/分であった。暗期には, ほぼ1時間持続する反芻行動がおよそ30~60分間隔で翌朝までで10回ほど反復した。5) 1日の総心拍数は11~12万拍, 総咬時間は9.5時間, 起立時間は9.3~11.7時間であった。明期12時間における起立時間は7.3~9.9時間, 暗期のそれは1.8~2時間であった。
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