Experimental Animals
Online ISSN : 1881-7122
Print ISSN : 0007-5124
39 巻, 2 号
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  • 田中 愼, 松沢 昭雄
    1990 年 39 巻 2 号 p. 141-153
    発行日: 1990/04/01
    公開日: 2010/12/09
    ジャーナル フリー
    ddマウスは導入先に因んでドイツマウスと呼ばれたものに起源を持つが, その導入時期と経過については, 1910-20年説, 1927年説と1928年説の3つがある。これら3説について再調査し, 検討を加え, 1928年導入説が最も信頼できる説であると結論した。即ち, コロニーの大きさは明らかでないが, 1928年 (昭3) 春にFrankfurt a. m. MainのHoechst社へ秦佐八郎が分譲を依頼し, 同年秋に小松経雄が北里研究所へ持参したマウスが秦の指導下で他系と交雑することなく維持され, 1930年以降ドイツマウスという名称で使用されるようになった。
  • 1990 年 39 巻 2 号 p. 155-186
    発行日: 1990/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
  • ―その検出法, 性質と感染経路―
    福島 健, 望月 きよみ, 山崎 浩美, 渡辺 雄二, 山田 秀一, 青山 保, 櫻井 美江, 森 洋, 仲澤 政雄
    1990 年 39 巻 2 号 p. 187-192
    発行日: 1990/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ビーグル犬の検便において接出されたトリコモナス (Pentatrichomonas hominis) を無菌的に培養した。このトリコモナスの各種薬剤等に対する感受性を調べた結果, 薬剤等への耐性は見られなかった。使用培地では極く少数のトリコモナスの接種によっても盛んな増殖が見られたことから, 培養による検便方法を改良した。培養したトリコモナスをマウスおよびラットに経口投与したところ, 両種ともに感染した。感染マウス糞便中のトリコモナスの放置ないしは乾燥に対する感受性を調べたが, 抵坑性は見られなかった。ビーグル犬へのトリコモナスの感染経路について考察した。
  • 古舘 専一, 吉田 修, 中野 健司
    1990 年 39 巻 2 号 p. 193-197
    発行日: 1990/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    雄フェロモンおよびPMSG投与によって誘起されるマウス妊娠阻止時のプロジェステロン濃度を調べた。雄近接によりプロジェステロン分泌の上昇がみられず, 性周期から妊娠黄体への移行が阻止された。PMSG投与による妊娠阻止の誘起に顕著な系統差がみられた。C3H, BALB/c系ではC57BL/6系よりも少ないPMSG量で妊娠阻止が誘起された。PMSGによる妊娠阻止時のプロジェステロン濃度は, PMSG投与翌日に一旦上昇し, 以後下降した。このことから, PMSGの処置は雄近接による妊娠阻止を模倣していることが示唆された。
  • 東條 英昭, 久保 政美
    1990 年 39 巻 2 号 p. 199-205
    発行日: 1990/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    Y染色体に外来性遺伝子が挿入されているトランスジェニックマウスの精子を用いて, Percoll密度匂配遠心法により, X・Y精子の分離を試み, その結果を, DNADNAハイブリダイゼーション法により判定した。7段階の濃度 (35~84%) からなるPercoll密度匂配に, 精巣上体より採取した精子浮遊液を重層し, 300×gで, 10分, 15分および20間それぞれ遠心した。遠心後, 各分画中の精子を回収・洗滌し, 精子DNAを抽出した。得られたDNAをニトロセルロースフィルター上にドットおよび固定したのち, 32P標識DNAプローブとハイブリダイズさせた。各DNAドット部位を切り取り, シンチレーターに投入して液体シソチレーション計数機で放射能を測定した。その結果, 遠心分離条件の違いにかかわらず, 各DNAドット間および対照 (非分離精子) との間には, 測定値に差異がなく, 各精子分画におけるX精子とY精子との比率がほぼ等しかったことが認められた。本実験の結果から, 原形質滴を持つ精子が含まれる精巣上体尾部精子を用いる限り, 比重差によるX・Y精子の分離は困難であることが示された。
  • 浅野 裕三, 岡庭 梓, 芹川 忠夫, 山田 淳三
    1990 年 39 巻 2 号 p. 207-212
    発行日: 1990/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    自然発症てんかんラット (SER; zi/zi, tm/tm) の外的刺激に対する感受性について, その親タイプ動物である突然変異体のtremor (tm/tm) とzitter (zi/zi) ならびにKyo: Wistar系とF344/N系の各ラットを対照として検討した。接触, 光 (12001ux, 1秒間隔) あるいは音 (8, 12kHz, 95bB) の各刺激によって, SERでは強直性伸展の発作が9週齢で22%ないし44%および13週齢で75%ないし100%発症したが, その他のラット群には全く痙攣を認めなかった. 30mAの電気刺激によってKyo: Wistar系ラットおよびF344/N系ラットは各検査時期を通じ容易に強直―間代性痙攣を発症した。
    しかし, 20mAの電気刺激ではKyo: Wistar系ラットとF344/N系ラットの発症頻度は5週齢の100%から13週齢の33%ないし71%に減少した。SERは10mAの電気刺激によって9と13週齢で強直性伸展を, 20および30mAの電気刺激によって各週齢では強直性痙攣, 間代性痙攣および激しい自発運動を伴うwild jumpingあるいはrunning episodeを発症した。tremorラットとzitterラットでは加齢に伴い30mAの電気刺激による発症頻度が減少した。SERでは外的誘発刺激は自然発症性に生じる強直性伸展の単なる引金であり, その閾値は加齢に伴い減少することから, 抗てんかん薬の薬効評価に, この動物が有益であると評価できる。
  • 前島 一仁, 長瀬 すみ
    1990 年 39 巻 2 号 p. 213-222
    発行日: 1990/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ディーゼル排ガスの吸入による慢性毒性を調べる目的で, 2, 150匹のF344ラットに希釈ディーゼル排ガスを1日16時間, 週6日の条件で最長30か月間吸入させた。実験群は, 雄120匹, 雌95匹ずつ計10群を設定し, 各群より無作為に抽出した一定数を用いて7, 13, 19および25か月齢時に, 51の血液学的・臨床生化学的項目を測定した。また, 30か月間の吸入実験: が終了した時点で, 生存していた全てのラットに対し同様の測定を行った。本実験の後期 (13か月齢以降) における対照群と実験群との血液学的・臨床生化学的な差異をより明らかにする目的でヒストグラムによる評価を行った。その結果, ヒストグラムによる評価法は, 通常用いられる平均値による評価法に比べ対照群と実験群との間の差をより明確にすることができた。
  • 佐藤 浩, 渡辺 洋二, 宮田 博規
    1990 年 39 巻 2 号 p. 223-229
    発行日: 1990/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    欧米で汎用されている上水殺菌法の一つであるオゾン殺菌法を実験動物由来のセンダイウイルス (HVJ) , マウス脳脊髄炎ウイルス (TMEV) , マウス肝炎ウイルス (MHV) , レオ3型ウイルス (RV) の4種RNAウイルスに対して作用させ, その不活化効果を検討した。その結果, 凍結乾燥状態のウイルス材料には80%以上の高湿度条件が必須であることが解明され, また液体状態のウイルス材料に対してもオゾンは不活化効果が高く, オゾン濃度100ppm以上, 湿度80%以上で高い有効性を示した。TMEVは物理化学的処理に対し比較的抵抗性が高いウイルスであるが, このウイルスの液体材料でもオゾン100ppm, 湿度80%, 温度22-25℃, 1時間処理により104PFU以上の不活化効果を示した。オゾン燻蒸法は浸透性にやや難点を持つものの上記条件を整備することにより, 乾燥及び液体状態の実験動物ウイルス材料に対し高い有効性を示し, 且つ使用上の安全性や残留性においてホルムアルデヒド燻蒸法に優っていると考えられる。これらのメリットを生かした殺菌・消毒法の一つとして動物実験施設の飼育室やクリーンルームあるいは安全キャビネット等に適用できる可能性がある。
  • 松井 寛二
    1990 年 39 巻 2 号 p. 231-238
    発行日: 1990/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    実験動物の生理学的特性として, 生理・生態の日内リズムに関する情報を整えておくことは, 実験動物の基礎資料収集の一環として重要であると考えられる。そこで, 小型生体情報処理システム装置 (データロガシステムと略す) を用いてスタンチョン飼育シバヤギの体温 (皮下温) , 心拍数および行動型 (採食, 反芻, 姿勢) を24時間自動記録する方法を考案し, これらの日内変動に関する標準測定値を求めた。16カ月齢去勢シバヤギを用い, シバヤギ用慣用配合飼料1200gを朝夕2回 (9: 00~9: 30, 16: 00~16: 30) それぞれ給与した。照明は12L-12D (5: 30~17: 30明期) とした。1) 本データロガシステムによりFig.2に示したように各情報の日内変動が記録され, またこれら情報間の対応関係も明らかにできた。2) 心拍数は, 朝夕の採食時に急増加し, 朝の採食後, すなわち明期には高値を示し, 夕方の採食後から漸減し, 翌日早朝に最低値を示した。3) 体温は, 早朝に最低値を示し, 朝の採食時から上昇し, 夕方の採食後1~1.5時間後に最高値を示した。その後早朝まで減少した。4) 顎運動回数 (咬数) は採食時には, 70~90回/分, 暗期の反芻時には, 80~90回/分であった。暗期には, ほぼ1時間持続する反芻行動がおよそ30~60分間隔で翌朝までで10回ほど反復した。5) 1日の総心拍数は11~12万拍, 総咬時間は9.5時間, 起立時間は9.3~11.7時間であった。明期12時間における起立時間は7.3~9.9時間, 暗期のそれは1.8~2時間であった。
  • 森島 英喜, 野々山 孝, 佐々木 啓, 宮嶌 宏彰
    1990 年 39 巻 2 号 p. 239-248
    発行日: 1990/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    各種毒性試験に用いられた8~15ヶ月齢のビーグル犬雄144例, 雌132例における自然発生病変を病理組織学的に検索した。検索の対象とした33臓器のうち30臓器に何らかの病変がみられた。もっとも高頻度に認められた所見は肝臓の単核細胞浸潤 (雄98r%, 雌97%) で, 次いで腎臓のカルシウム沈着, 唾液腺の単核細胞浸潤, 脾臓の色素沈着などが雌雄とも30%以上の頻度で認められた。腎臓における尿細管上皮の空胞化は雌で多発し, 胆嚢の単核細胞浸潤, 副腎の球状層細胞の空胞化は雄で多発する傾向を示した。
  • 渡辺 洋二, 宮田 博規, 佐藤 浩
    1990 年 39 巻 2 号 p. 249-254
    発行日: 1990/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    6種類の実験動物 (マウス, ラット, シリアン・ハムスター, スナネズミ, モルモット, 及びウサギ) 由来肺胞マクロファージ (AM) を培養し, HVJをウイルス感染効率 (MOI) 1で感染させその増殖態度を検討した。その結果, 培養上清中の感染性ウイルス及びウイルス抗原陽性AMの出現程度により三種のカテゴリーに大別できた。第1グループはマウス, シリアン・ハムスター, モルモットのAMであり, 105.5-107.5PFU/mlの高い感染性ウイルスの培養液中への産生及び80%以上の抗原陽性AMが検出された。第2グループのラット, スナネズミのAMは第1, 第3グループの中間に位置し中程度を示すグループである。第3グループ (ウサギAM) は抗原陽性AMがMOIに応じて10%から50%まで検出されたが, 感染性ウイルスの培養上清への放出を積極的に証明することが出来なかった。各種実験動物由来培養AMがHVJ感染に対し異なる像を示し, これらのうち特にウサギAMのみでHVJの不完全増殖 (abortive infec-tion) を推測させる成績を得た。
  • 五十嵐 功, 簾内 直美, 豊原 俊治, 田内 清憲
    1990 年 39 巻 2 号 p. 255-261
    発行日: 1990/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ラット静脈血由来リンパ球を幼若化反応に利用するため, 後大静脈から採取した静脈血からリンパ球を回収した。リンパ球の回収率は33.2±2.23%であり, その生存率は99.8±0.25%であった。このリンパ球浮遊液に3種類のmitogen (phytohemaggultinin-M, concanavalin Aおよびpokeweed mitogen) の各3濃度を加えて炭酸ガス培養し, グルコース消費試験によるGCT-SR値 (glucose consumption test-stimulation ratio) および形態学的に測定した幼若化細胞の出現率を求め, mitogenの種類およびそれらの濃度の影響を検討した。その結果, GCT-SRおよび幼若化細胞の出現率に与えるmitogenの種類とそれらの濃度の影響および両者の交互作用は, いずれも1%の危険率で統計的に有意であり, phytohemaggultininの0.1ml/mlのGCT-SR値および幼若化細胞の出現率が最大で, それぞれ41.2%および5α8%であった。また, GCT-SR値と幼若化細胞の出現率との間に相関係数r=0.97という強い相関関係が得られ, 両者の成績の一致度が高かった。したがって, ラットの静脈血由来リンパ球を用いるグルコース消費試験により, 安全かつ簡便にしかも微量の血液で多数検体について, リンパ球の幼若化能を調べることが可能である。
  • 平山 和宏, 遠藤 希三子, 河村 晴次, 光岡 知足
    1990 年 39 巻 2 号 p. 263-267
    発行日: 1990/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    東京周辺の3つの実験動物供給業者より購入したBALB/c系SPFマウスの盲腸細菌叢を選択および非選択培地を用いて検索し, 直接塗抹標本の定量的観察ならびに相対盲腸重量測定の結果とあわせて比較した。主としてfusiform bacteriaの菌数を反映する直接塗抹標本の観察による総菌数が3つの業者でほとんど等しかったのに対し, 多くの菌群の菌数は業者間で大きく異なり, 総生菌数にも大きな差が認められた。特にEubacterium とラセン型の菌については検出されなかった業者があり, またEnterobacteriaceaeの菌数は業者間のみならず同一業者由来マウス間にも大きな変動が認められた。相対盲腸重量も業者間での差が認められ, 盲腸細菌叢の構成の多様性との相関が示唆された。本研究で示されたような実験動物の細菌学的環境の変動は実験成績に影響を与える可能性があり, 腸内細菌叢の標準化が望まれる。
  • 関口 冨士男, 石橋 光太郎, 加藤 秀樹, 河本 泰生, 猪 貴義
    1990 年 39 巻 2 号 p. 269-272
    発行日: 1990/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    Crj: CD-1 (ICR) マウスを基礎集団に用い, アロキサン (雄: 45mg/kg, 雌: 47mg/kg) 投与により誘発糖尿病高発症と低発症に淘汰選抜しながら近親交配でF20まで継代し, 近交系を作出した。近交系化されたアロキサン誘発糖尿発症系マウス (ALS) および低発症系マウス (ALR) の2系統について遺伝的背景を明らかにする目的で, 生化学的標識遺伝子および免疫学的標識遺伝子の検索を行った。1) 生化学的標識遺伝子19座位, 免疫学的標識遺伝子11座位を検索した結果, 両系統ともすべての遺伝子が同一系統内では変異がなく, しかもホモ型を示していたので近交系は達成できているものと思われる。2) 両系統間では生化学的標識遺伝子2座位, 免疫学的標識遺伝子5座位が異なっていた。3) ALSおよびALR系とも, 新たなICR系の近交系と考えられる。4) 今回の結果から両系統間は標識遺伝子が7つの座位で異なっていることがわかったが, これらの遺伝子がアロキサンに対する感受性の差異に関与しているかどうかは明らかでない。
  • 竹中 務, 橋本 一也, 後藤 浩彦, 松本 智志, 西川 徹
    1990 年 39 巻 2 号 p. 273-279
    発行日: 1990/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    中国, 雲南省産のアカゲザル (M.mulatta) 10頭につきHepatocystis sp.の感染状況の調査を実施した。原虫の赤血球内発育体については血液塗抹標本で, またメロシストについては肝臓の組織学的検索を行なった。検査の結果, 10頭中6頭にHepatocystis sp.が確認された。生殖母体の成熟には約6日を要した。完全に成熟した雌性生殖母体の直径は約8μmであった。細胞質は青紫色で, 核は染まりにくい空胞のような部分にクロマチンが点状に存在していた。雄性生殖母体は, ビスケット色を呈する細胞質とピンク色を呈する核を持っていた。肝臓の組織標本では, メロシストの直径は約3mmで表面は滑らかであった。メロシストはいかなる指状形をも呈さなかった。これらの性状は, Hepatocys tistaiwanensisのものに類似していた。しかしながら, H.taiwanensisの種名の確定には, さらに検討を重ねなければならない。
  • 菅原 盛幸, 中村 貴之, 大泉 知子, 大木 与志雄
    1990 年 39 巻 2 号 p. 281-284
    発行日: 1990/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    草食性ハタネズミから乳汁を採取し, その組成を調べた。ハタネズミの乳汁の全固形分, 脂肪, 蛋白質および灰分は, 牛のそれらに比べ著しく高かったが, 乳糖は逆に牛やマウスに比べ著しく低かった。ハタネズミのカゼインのアクリルアミドゲル電気泳動パターンは, 牛のそれとは違っていたが, マウスのパターンとは類似していた。
  • 安田 斎, 谷口 雄三, 繁田 幸男
    1990 年 39 巻 2 号 p. 285-289
    発行日: 1990/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    骨肉腫に起因すると考えられる末梢神経障害を呈したニホンザルの一例につき報告した。右上腕骨に骨肉腫を罹患し死亡した無処置サルの剖検で肺, 心, 肝などへの遠隔転移と下肢末梢神経の著明な神経線維の脱落が認められた。下肢神経の3レベルの光顕定量的解析及び電顕的観察を行い, 正常な3個体からえられた所見と比較検討した。本例では遠位程, 有髄線維密度は低く, 線維の短径は小さかった。電顕検索では本例でのみ有髄線維の軸索変性が認められ, 遠位で程度が高度であった。これらの所見はdying-back型の神経障害に一致し, 悪性腫瘍に合併する神経障害の型では最も高頻度である。また神経障害の原因として腫瘍以外は考慮しがたかった。
  • 鴻野 操, 鈴木 通弘, 小野 孝浩, 小川 浩美, 長 文昭
    1990 年 39 巻 2 号 p. 291-294
    発行日: 1990/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    3日間1対1交配にて妊娠した屋内個別飼育カニクイザル683頭 (野生由来動物542頭, 育成動物141頭) について, 流産および胎仔死亡の発生率を超音波診断装置を用いて調査した。流産および胎仔死亡の発生率は, 野生由来動物では7.0%, 育成動物では7.8%であった。入荷後の飼育年数および母ザルの年齢と流産および胎仔死亡の発生率との間に有意な関係は認められなかった。これらの流産および胎仔死亡例は, 妊娠5週齢から9週齢にかけて多く発生した。
  • 加藤 志津香, 大野 京子, 伊原 信夫
    1990 年 39 巻 2 号 p. 295-298
    発行日: 1990/04/01
    公開日: 2010/12/09
    ジャーナル フリー
    ICR白内障ラットは生後11~12週齢で白内障を自然発症する系統であるが, 系統育成当初はいったん白内障を発症した後, 加齢に伴ってその白濁が消失する個体が多かった。そこで「生涯白濁が持続する系統」を育種目標に, 兄妹交配を続けながらICRF系を選抜育成した。兄妹交配20代を越えた時点で, ♂38個体♀32個体について基礎調査を行った結果, 発症率は雌雄両眼とも100%で, ♂3個体の片眼についてのみ白濁の消失する例がみられたが, ほぼ育種目標に到達しており, ICRF系は「白内障を自然発症した後, 生涯白濁が持続する系統」として確立された。また, 育成中13世代よりてんかん様発作を頻発するようになり, その基礎調査群における発症率は♂89.5%, ♀3.1%で著しい雌雄差があった。♂はほとんどの個体がてんかん様発作を起こすことから, ICRF系はてんかん様症状と白内障を合わせ持つ, 有用なモデルになると思われる。
  • 中潟 直己
    1990 年 39 巻 2 号 p. 299-301
    発行日: 1990/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    高濃度の保存液 (DAP213: 2 M dimethyl sulphoxde, 1 M acetamide, 3 M propylene glycol in PB1) に胚を移し, 10~15秒後に, 直接液体窒素に浸漬することにより, 4つの近交系 (BALB/c C3H/He, C57BL/6およびDBA/2) と一つのクローズドコロニー (Slc: ICR) のマウス2細胞期胚の凍結保存を行なった。各種系統における融解時の形態的正常胚の割合は, 80.7~92.6%であった。また, これら形態的正常胚の受容雌への移植により, 移植胚の7.4~60.0%が新生仔へ発生した (BALB/c: 34.3%, C3H/He; 30.6%, C57BL/6: 60.0%, DBA/2: 7.4%およびSlc: ICR; 24.3%) 。
  • 中潟 直己
    1990 年 39 巻 2 号 p. 303-305
    発行日: 1990/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    室温にて卵子を高濃度の保存液 (DAP213: 2M dimethyl sulphoxide, 1M acetamide, 3M propyleneglycol in PB1) に移し, 5-10秒後に, 直接液体窒素中に浸漬することにより, BALB/c, C3H/HeおよびC57BL/6の近交系マウス未受精卵の凍結保存を行なった。融解は37℃の温水中で行ない, 卵子を回収, 形態的に正常と判定された卵子を培地に移し, 精巣上体尾部精子を用いて体外受精を行った。融解後, 回収された卵子の内, 形態的正常卵子の割合および体外授精によるこれら卵子の2細胞期への発生率は, それぞれ76.8-90.9%よび70.7-83.4%であった。また, 2細胞期へ発生した胚の受容雌への移植により, 31.0-43.0%の胚が新生仔へ発生した。
  • 国枝 哲夫, 筏井 洋, 松井 南, 野村 信夫, 石崎 良太郎, 今道 友則
    1990 年 39 巻 2 号 p. 307-310
    発行日: 1990/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ヒト心筋アクチン遺伝子のcDNAをプローブとしたサザンプロット法により, ラットにおけるアクチン遺伝子関連配列の多型性を調べた。その結果, 制限酵素として.EcoRIを用いて検出されたフラグメントのうち, 11kb, 7kb, 6kb, 5kb, 4.5kbおよび4kbのフラグメントにおいて系統間の多型性が認められた。いずれの多型性も, 特定の系統のみに新たなフラグメントが検出されるものであり, 偽遺伝子などのアクチン遺伝子関連配列の存在に起因することが推測された。これらの多型的なフラグメント, 調べた13系統において7つの特異的なパターンに分類され, 近交型ラットの遺伝的モニタリングに用いることが可能であると思われた。
  • 1990 年 39 巻 2 号 p. e1
    発行日: 1990年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
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