抄録
ガス状物質と比較するとダストを安定して発生させることは困難であるため, 動物吸入暴露実験において暴露チャンバー内のダスト濃度を一定に保つことは難しい。本研究ではダストの暴露濃度を安定させるために, 発生器の制御はon-offコントロールのみで行い, 発生させたダストを2台のサイクロン整粒器を通過させた後一旦貯蔵漕に蓄え, ここから暴露チャンバーへ搬送するダスト供給量を自動調節する方法を採用した。本システムでは, 貯蔵漕内のダストを加圧空気によってエジェクターへ吸い上げさせ, 混合漕で清浄空気と希釈・混合させた後, 暴露チャンバーに導入したポ暴露チェンバー内のダスト濃度は加圧空気によってエジェクターに吸い上げられるダストの量によって決まる。このため, 暴露チェンバーに取り付けた光散乱方式による粉塵計からの濃度信号をPIDコントローラーで処理させ, ガス流量調節用のマスフローコントローラーに制御信号を送り, 加圧空気の量を自動的に制御させた。本制御システムは, 発生器のon-offコントロールによるハンチングを低減するとともに, ダストの暴露濃度を長時間にわたり安定して維持することができた。また, 所定濃度に達するまでの時間を短縮し, ダスト暴露に特有な配管内部に付着したダストの剥離による急激な濃度上昇も軽減することができた。さらに, 本暴露システムは複数のチャンバーに異なる濃度のダストをダストの中位径を変化させることなく同時に暴露できることが明らかとなった。