Experimental Animals
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カニクイザルの形態学的成長: 出生から6歳齢までの縦断的成長
清水 利行吉田 高志長 文昭後藤 信男
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1993 年 42 巻 2 号 p. 151-158

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抄録
筑波医学実験用霊長類センターにおいて, ケージ内繁殖・育成方式によって出生したカニクイザルについて, 出生時から生体計測を繰り返し, 縦断的方法によって, 形態学的成長について解析をおこなった。計測は, 頭部, 体幹部ならびに四肢の長さに係わる17部位で実施した。頭部の計測値では, 雌雄とも, 最大頭長・最大頭幅に比べて形態学顔高・形態学上顔高の増加率が大きかった。また四肢の成長に対し体幹部の成長は1.5歳齢までは優っていた。その後, 雌ではほぼ等成長を呈するのに対し, 雄では四肢の成長の方がやや優成長を呈するようになった。このことが, カニクイザルの雌雄での体型の差をつくる原因であることが示唆された。ついで, それぞれの部位の計測値に, 変曲点のある成長モデル式と1.てGompertz式およびLogistic式を, また変曲点のない式として二次関数を適合させた。その結果, これらの形態学的計測値には二次関数がもっともよく適合するものと判断された。カニクイザルの形態学的な成長の特性として, 成長初期に一時的な成長速度の減少を伴わない (変曲点のない) 成長様式を呈していることが指摘できよう。
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© 社団法人日本実験動物学会
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