Experimental Animals
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実験イヌ用飼料の窒素補正代謝エネルギーの推定
大島 誠之助福間 義教鈴木 敏明阿部 又信
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1993 年 42 巻 4 号 p. 571-577

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抄録

実験イヌ用非精製飼料のエネルギー推定法である計算式, 〔代謝エネルギー=可消化エネルギー (DE) ―1.25×可消化粗蛋白質 (DCP) 〕の信頼性を検討すべく, 5種類の飼料を4頭のビーグル成犬に給与して, 消化試験, 窒素 (N) 出納試験およびエネルギー価の実測試験を行った。粗蛋白質, 粗脂肪, 可溶無窒素物の消化率は, それぞれ79.5%, 91.6%および84.8%であった。窒素出納 (NB) はすべて正で, 摂取乾物飼料1g当たり1.4~8.6mgの範囲内であった。摂取された窒素のうち, 平均で21%が糞に, 66%が尿に, 13%が蓄積に回された。飼料の総エネルギーのうち, 平均で18%が糞に, 5%が尿に排泄され, 77%が代謝エネルギー (ME) であった。1%が蓄積分であり, 窒素補正代謝エネルギー (MEn) は76%となった。また, 尿中窒素1g当たりの尿エネルギー (UE) の損失は平均で7.84kca1であった。UE/DCPとNBとの間には高度の相関関係があり (UE/DCP=1.24-0.03NB, r=0.798, P<0.001) , 窒素平衡 (NB=0) 下ではUE/DCPは1.24kca1/gとなり, 上述の計算式の係数とほぼ一致した。この式で求めた代謝エネルギー値は, MEnとよく一致し, 両者の値は実測ME値より有意 (P<0.05) に低かった。以上より, 上述の式は, 本来MEn=DE-1.25DCPと表されるべきものであり, 供試飼料のMEnを簡便に推定できる信頼性の高い式と結論した。また, 本式はN平衡にあるイヌはもとより, Nを蓄積しているイヌに対しても適用できることが立証された。

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© 社団法人日本実験動物学会
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