Experimental Animals
Online ISSN : 1881-7122
Print ISSN : 0007-5124
ddY系雄マウスの加齢に伴う記憶障害と海馬神経細胞の変性
田中 雅弘浅沼 章宗生田 殉也山田 英樹清水 貞宏古賀 照二垣下 奉史
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1994 年 43 巻 5 号 p. 697-702

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抄録
ddY系雄マウス (4.5, 20, 40および60週齢) を用い条件回避反応による行動薬理学的変化と海馬神経細胞の病理組織学的変化との関連性について経時的な検討を行った。回避反応試験において40週齢以上のマウスの潜時は若週齢マウス (4.5週齢) に比べ短縮した。海馬錐体細胞の変性が40週齢以上で著しく増加し, 変性細胞はCA1に比べCA3で顕著であった。60週齢マウスのCA3領域の変性神経細胞の出現率は20.8%であった。さらに71.9%の動物で行動薬理学的検査 (受動的回避反応) の成績と海馬の形態学的変化との間に関連性が認められた。これらの結果はマウスの加齢に伴う記憶障害にも海馬が重要な役割を果たしている事を示していた。また, 海馬の変化は致命的なものでは無かったことから, 60週齢前後のddY系マウスは可逆性の海馬神経細胞障害モデルとして利用できる可能性が示唆された。
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© 社団法人日本実験動物学会
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