福岡県農林業総合試験場研究報告
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高温耐性で良食味のブナシメジ品種「福おおき173号」の育成と特性
上田 景子森 康浩 江口 雅音梅田 剛利谷崎 ゆふ中田 富美池田 華優友清 昇太高山 夏音浅岡 壮平大曲 恵美嶋谷 頼毅
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2025 年 11 巻 p. 43-52

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抄録
ブナシメジ培養にかかる夏季の空調コストを低減するため,従来よりも高い温度で培養可能な高温耐性を有する良食味品種の育成に取り組んだ。第1ステージでは,「博多ぶなしめじ」の第七代品種「大木Oh-494」と6つの保有菌株との交配家系1973菌株からHm379-132を選抜した。第2ステージでは,Hm379-132と良食味品種「大木IB87」との交配家系から高温培養可能で,かつ「大木Oh-494」に比べて食味検定の苦味評点が有意に少なく,総合評価が有意に大きい「福おおき173号」を選抜した。本品種の収量は,慣行の培養日数70 日において「大木Oh-494」と比較すると,慣行の培養温度20℃では低かったものの25℃では同等,30℃で有意に多かった。菌掻きから収穫までの生育日数は,「大木Oh-494」と比べ,20℃および25℃培養において有意に短かった。さらに,商品性を損ねる菌傘のイボの発生度は「大木Oh-494」と比べ,極めて低かった。菌傘中央部の色は,L*値が「大木Oh-494」に比べて有意に大きく,明るい灰茶色であった。菌柄中央部の色は,「大木Oh-494」に比べて白色度が有意に大きく,くすみの少ない白であった。子実体の遊離アミノ酸について,ヒスチジンをはじめとする苦味アミノ酸8種の含量はすべて「大木Oh-494」を下回り,食味検定の結果と符合した。本品種は,株式会社大木きのこ種菌研究所を共同育成者として品種登録され,2023年9月から「博多ぶなしめじ」の第八代品種として市販されている。
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