食農資源経済論集
Online ISSN : 2760-7216
論文
新規食品技術に対する消費者認知と需要:日本を対象とした遺伝子組換えとゲノム編集の比較研究
Najeebullah AHMADZAIMasahiro MORITAKASeiffedine BEN TAIEBYoshihiro UENISHI
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2026 年 77 巻 1 号 p. 62-77

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抄録
遺伝子組換え(GM)およびゲノム編集(GE)技術は,持続可能な農業や食料安全保障に貢献する革新的手段として注目されている。社会的・市場的普及において,遺伝子組換え食品(GE食品)はゲノム編集食品(GM食品)に比べて期待されているものの,これまでの研究では,GM食品とGE食品に対する消費者のリスク認知・便益認知と受容態度の関係性を同一サンプル内で体系的に比較したものは極めて少なく,認知や態度の計測方法における測定上の妥当性にも課題が残されていた。本研究は,日本人1,324名を対象に,GM食品およびGE食品に対するリスク認知・便益認知,受容態度を同一の測定枠組みで比較し,社会的・市場的受容の構造を明らかにすることを目的とする。因子分析,クラスター分析,構造方程式モデリングを用いた結果,第一に、参加者の多くはGMおよびGE食品に対して中立的かつ類似した認知を示し、両技術の違いを明確に理解していないことが示唆された。第二に、消費者はリスクと便益を独立した要素として捉えており、両者の相関は低かった。第三に、クラスター分析により5つの消費者グループが特定され、リスクと便益に対する認識がグループ間で大きく異なることが明らかとなった。特に「熱心派」や「リスク重視派」など、対立する価値観を持つ層の存在が社会的受容におけるトレードオフを示唆している。第四に、SEMの結果から、受容態度に対する便益認知の影響はリスク認知よりも大きく、GEにおいてその傾向がより顕著であった。これらの知見は,GM食品,GE食品とも社会的受容を高めるには,リスクを重視する消費者層への対応が必要であり,市場的受容を促進するには便益を強調するマーケティング戦略が有効であることを示している。
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