2014 年 50 巻 6 号 p. 528-532
骨格筋線維には,絶え間ない筋収縮・弛緩に伴う負荷から保護される機構が備わっている.膜タンパク質ジストログリカンは,細胞表層上で糖鎖修飾依存的に細胞外マトリックス構成因子ラミニンと,細胞内では骨格系タンパク質ジストロフィンとにそれぞれ結合する.この「細胞外マトリックス―ジストログリカン―細胞骨格」構造体は骨格筋の構造・機能維持に必要不可欠であり,ジストログリカンの機能破綻,特に同分子上の糖鎖修飾不全より筋ジストロフィーが引き起こされる.当総説ではジストログリカン発見の経緯とその分子機能を概説すると共に,最近明らかになりつつあるジストログリカン上の糖鎖修飾機構について紹介したい.