2014 年 50 巻 8 号 p. 762-766
シルクは,古くから我々の生活に密着した素材である.実際に,中国の6,000年前とみられる遺跡からシルクで作られた羅の痕跡が出土している.日本においても,魏志倭人伝に絹を魏に献上したという記述があることから,既に弥生時代には養蚕や絹の繊維としての利用があったのであろう.日本の近代化の礎となったシルク関連産業であったが,現在は厳しい状況にある.この状況を打破する一手として,多様な分野へのシルク利用技術の開拓と日本発の遺伝子組換えカイコ技術の展開がある.