2015 年 51 巻 3 号 p. 201-205
生体内因性および外因性の種々の物質の体内動態に関わるトランスポーター(膜内在性輸送タンパク質)の同定が進展し,トランスポーターの関与する分子機構に基づく動態特性の理解が深まってきている.水溶性ビタミン類の腸管吸収過程についても同様であり,小腸上皮細胞の刷子縁膜における細胞内への取り込み輸送過程では,水溶性ビタミン類に分類される9種類のうち,ピリドキシンを除く8種類について,トランスポーターが同定されるに至っている(表1).側底膜での細胞外への輸送過程に関しては,トランスポーターが未同定のままのビタミンがまだ目立つが,その同定も進みつつある.このような状況と薬学的意義を踏まえながら,各水溶性ビタミンの腸管吸収に働くトランスポーターについて概説する.