腫瘍組織の毛細血管は,腫瘍の増殖に伴う血管新生により形成されるため分岐が多く血管壁も不完全であるために,透過性が亢進している.したがって,血中滞留性の高い高分子や微粒子はこれらの腫瘍組織において血管外へと漏出しやすい.さらに,腫瘍組織はリンパ系が未発達あるいは欠如しているため,漏出した物質がリンパ管を介して消失しにくく蓄積しやすい.この現象をEPR効果(enhanced permeability and retention effect)と呼び,抗がん剤のパッシブターゲティングの基本原理となっている.